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プラチナライフ

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Vol. 7

「自立と共生」がキーワード!
適度な距離感を保ちつつ、「ひとりで生き」、「みんなで活き」るおひとりさま仲間との「近居生活」

村田幸子さん

カフェのお客様

村田幸子さん
福祉ジャーナリスト
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立教大学文学部英文学部卒業。
NHKにアナウンサーとして入局。スタジオ102、NHKニュースワイドなどの報道番組のキャスター・リポーターなどを経てNHK解説委員(厚生行政担当)。
中央社会保険医療協議会委員、身体障害者福祉審議会委員など務める

同じマンションにそれぞれが部屋を持って暮らす「近居生活」

村田さんは福祉の専門家として活躍されていらっしゃいますが、プライベートではご自身シングルで、おひとりさま仲間と同じマンションで生活をなさっているそうですね。

 ええ、そうなんです。60代から70代のシングル女性7人で、関西にある同じマンションにそれぞれ部屋を購入し、「近居生活」をはじめて、今年で6年目になります。個人個人が自立しながら助け合うという意味を込めて、「個個セブン」というグループ名もつけたんですよ。

 

 素敵ですね。ところで、なぜ「近居生活」をはじめようと思われたのですか?

  50代になった頃ですが、アナウンサーの仕事から福祉を主に取材する解説委員に変わり、介護の現場を訪問する機会が増えました。

  そのうちに「このまま年をとってひとり暮らしが難しくなったらどうすればいいのかしら」と、老後の暮らし方を考えるようになったんです。同世代のシングル女性にその話をしたところ、みんな同じように考えていました。仲のいい友人たちとは、その前から「将来もずっと一緒に過ごせたらいいわね」とも話していましたから、「いっそのことみんなで一緒に住む家を建てましょう」と盛り上がり、2002年の夏に十数人の人たちと「新しい可能性を開く住まいの会」という勉強を会を立ち上げました。

 

はじめはメンバーが大勢いらしたのですね?

  そうなんです。でも、勉強会で議論を重ねているうちに、メンバー間に温度差があることがわかってきました。既婚者で「いずれダンナが死んだら仲間に加わりたい」という暢気な人もいましたし…。これでは時間のムダだと思って勉強会を解散し、本気で近居を考えている人だけで計画を練り直すことにしました。

 当初は、土地を買い、一から建物を建てることを考えていましたが、探せど探せど思うような条件の土地は見つかりませんでした。仕方なく、2007年10月に計画をいったん白紙に戻して解散することを決め、その年のクリスマスに解散記念の食事会をすることにしたのです。ところが、その直前に、仲間のひとりが偶然もらったマンションの広告を見ると、私たちの求めていた条件にぴったりでした。全員がそのマンションを気に入り、そこからトントン拍子に話が進んで、翌年、そのマンションに入居しました。

 

すごい偶然ですね。それにしても、計画から入居まで6年かかっているんですね。

   ええ。その間は、土地を探し回り、何度も話し合いをし、時には小旅行もしました。近居生活するには、同じ価値観を共有できる人なのか、自立と共生ができる人なのか、人生を楽しむことができる人なのかを見極める必要があると思うんです。お互いの距離感をつかむことも必要でしょう。そのうえで一緒に住めるかどうかを考える。今にして思えば、入居までの6年間は、お互いを知るための「お見合い期間」のようなものだったのだと思います。

 また、結果的には、マンションを選んだことも良かったと思っています。というのは、もし仲違いして近居生活を解消することになったとしても、マンションならば自分の部屋を売って出て行けばいいわけです。これが一軒家だったら、そう簡単にはことが進まないのではないでしょうか。

 

「個」と「個」が自立しながら助け合い、楽しく生きる

「近居」という生活スタイルは、いかがですか?

「個個セブン」のみなさん

  今は東京で母の世話をしているので、月に1~2回、3~4日程度しか行っていませんが、思った以上に快適です。プライバシーは保たれつつも、困ったときには助けあえる。お互いに合い鍵を持っているので、留守のときには植木の水やりを頼んだりもしています。

 だからといって、他の人に頼りすぎるのは禁物です。そもそも「個個セブン」というグループ名の「個個」には「ひとりで生きる」、「セブン」には「みんなで助け合う」「みんなで活きる」という意味があるんです。つまり「自立と共生」がキーワード。一人ひとりがそれぞれの生活を大切にしながら、みんなで活動し、楽しむ。そこには「共生」はあっても「強制」はありません。

 たとえば、旅行をするときも全員参加ではなく、スケジュールが空いていて、その旅先に興味がある人だけが参加します。緩やかなつながりなので、気が楽です。

 もうひとつのポイントは、共同生活をする上での負担と責任は、7人それぞれが応分に負うということです。

 

どういうことですか?

    たとえば、近居生活中のマンションには、それぞれの住まいのほかに共有スペースを所有しているのですが、その管理費なども7人で応分に負担しています。それができない人がいたら、誰かが誰かに寄りかかることになってしまいます。つまり、価値観や基本的な物事の考え方、経済レベルが極端に違う人とは、一緒に暮らすことは難しいと言わざるをえないのです。

 

それはわかる気がします。ところで、共有スペースはどのように使っているんですか?

「土曜サロン」でピアノ演奏会を楽しんだ(2013年1月)

   仲間うちの食事会や勉強会のほか、毎月1回土曜日に、地域の方や友達にも参加してもらえる「土曜サロン」という会を開催しています。「個個セブン」のメンバーは、ずっと仕事を続けてきた女性たちばかりですから、いろいろな人脈があります。それを活かして、ゲストをお招きして講演会や音楽会を開催するのです。参加者には1500円の会費をご負担いただいて、お茶とお菓子を召し上がりながら、講演や音楽などを楽しんでいただいています。

 

みなさん、喜んでいらっしゃるでしょうね。それにしても、なぜ「土曜サロン」をはじめられたのですか?

   おひとりさまは、仕事中心の生活をしてきていますから、どうしても地域とのつながりが希薄になりがちです。ですが、やっぱり地域とのつながりは大切です。そこで、私たちが仕事を通じて蓄えてきた知識や経験を多少なりとも還元することで、地域に貢献し、つながりができればと考えたんです。

 

なるほど、知識や経験は、他の人に還元できる蓄えなんですね!

  ええ、そうです。立派な蓄え、財産ですよ。それと友達も大切な財産です。心強い安全保障でもある。だからこそ、おひとりさまは、お金よりも友達という蓄えをたくさん作るべきだと考えています。

 

お金よりも友達! いまのフレーズには、すごく力づけられた気がします。長時間どうもありがとうございました。

 

(前編)http://oh-smilecafe.jp/pl/299/

 

 

 

 

 

 

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