おひとりさまに聴く
Vol. 3
カフェのお客様
ゴルフは、会社の仲間と月に1回、大学の空手部のコンペが年3回、仕事を通じて知り合った仲間とのコンペが年3回あるので、年に20回くらいでしょうか。ヨットのほうは、8年前に父が亡くなるまでは、ほぼ毎週海に出ていました。当時はひとり暮らしをしていましたが、父の他界後、母が高齢で体力も落ちてきたこともあり、実家に戻りました。
今は、母と2人暮らしで、母の食事や身の回りの世話もあるので、年2~3回ですね。とはいえ、空手部OB会の幹事をやっていますし、仕事を通じて親しくなった人たちとのつきあいもあり、土日も家でゆっくりしている時間はありません。
はい。母は88歳になります。ずっと元気でいて欲しいと思っていますが、先のことはわかりません。もし、介護が必要になった場合、私が会社を辞めれば在宅介護も可能だとは思いますが、ひとりでは面倒見切れないことも出てくるでしょう。幸い、自宅の近所に施設があるので、そこを見学しにも行きました。
母の姿を見ていると、「自分も年を取るとこうなるんだろうな」と考えさせられます。そのときに、周囲の人に迷惑をかけないかと心配に思うことはありますね。
あるにはあるのですが、今は自分のことより、母をしっかりと見送ることが大切だと思っています。母の面倒を見、万一の時には葬儀をし、橋本家の墓に入れて、諸々の後始末をきちんとする。橋本の家は私で終わらせてもいいと思っているので、橋本家の墓をどう閉めるのかも考えています。檀家寺と相談しなければならないこともあるとは思いますが…。自分の将来については、母の世話を通じて、必要な生活費や介護費用などについて大まかに把握しているつもりですし、多少の蓄えもありますから、何とかなるだろうと思っています。
これまでも、仕事であれプライベートであれ、まわりが「無理だ」とか「だめだ」と言っても何とかしてきました。だから、この先も「何とかなるだろう」と楽観的に考えています(笑)。それに、価値観やどんなことに喜びを感じるかは、人それぞれです。ブランドのバッグを持ちたい人もいれば、自分が気に入った形、色であれば、どのメーカーのものでも構わない人もいるでしょう。私の場合は後者です。そういう私の価値観では、将来についてもあまり悲観はしていません。
それに、やりたいことが、まだまだたくさんあります。その時にお金がないから諦めなければいけないという思いだけはしたくないですね。
仕事を通じて知り合い、今では家族ぐるみのつきあいをしている同世代から40代まで年齢もさまざまな5人の仲間と「どこかに土地を買い、それぞれ戸建てを建ててコミューン(小規模な共同社会)のようなものを作ろう」という話をしているんです。私は独身ですが、仲間には夫婦の人や子どもがいる人もいます。戸建てであれば、それぞれの家庭生活を守りながらも、何かあった時にはお互いに面倒を見ることができるでしょう。今はみんな親や子どもの世話があるので、すぐに実行することはできませんが…。
ヨットの仲間たち--コミューンの仲間と重なる人もいますが--とは、ヨットで八丈島へ行くことも考えています。実は、十数年前の夏休みに仲間と八丈島へ行ったのですが、台風が来てヨットで帰れなくなってしまったんです。他のメンバーに連絡し、ヨットは八丈島から運んでもらいましたが、私は仕事の都合もあって東海汽船で帰らざるをえなかった。リタイアしたら、時間を気にせず八丈島へ行きたいですね。
その一方で、ひとりで何もせず、家でボケーッと過ごす時間が欲しいなとも思っています。絵が好きで、風景画を中心に買い集めたものがあるんです。それを飾り、好きなものに囲まれてひとりで何日もボーッと過ごす…。やりたいことをやりつつ、介護が必要になったときには施設に入り、最後にお葬式をするまでにいくらお金がかかるのか、現実的なところを知りたいと思っています。