イザに備える/エンディング
判断能力が十分でなくなった人を援助する法定後見制度は、判断能力よって低い順から「後見」「保佐」「補助」の3類型に分けられます。また、援助する立場の「成年後見人」「保佐人」「補助人」はそれぞれできることやすべきことが異なっています。
成年後見人には、本人の代理人として、買い物など日常生活に関する以外全ての法律行為や財産管理を包括的に任せることになります。また、後見人が知らない間に本人が悪徳業者と契約をしてしまった、不動産の売買契約書に捺印してしまったなどの場合に、契約を取り消す権利(取消権)がありますから、判断ミスや消費者被害から守ってもらえます。ただし、日用品の買い物など日常生活まわりの行為は取消してもらえません(日常生活まわりの行為が取消権の対象とならない点は保佐人、補助人も同様です)。
保佐人は、次の9つの重要な法律行為に同意する権利(同意権)と取り消す権(取消権)があります。言い換えれば、本人がこれらの行為を単独で行うことはできず、必ず保佐人の同意がなければ法的に契約は成立しません。重要な法律行為に関して、判断能力の衰えを保佐人にカバーしてもらうことができます。
その他、預貯金の払い戻し、不動産取引、介護契約の締結など特定の法律行為に関して、本人が必要と思った事柄についてのみ、代理人として保佐人に任せることも可能です(申立時に保佐人に代理権を与えます)。
補助人には、上記の9つの重要な法律行為のうち、本人が選んだ行為のみに同意権と取消権を与えることになります。特定の法律行為に代理権を与えることができるのは、保佐のケースと同様です。
では、「後見」「保佐」「補助」はどのように決まるのでしょうか。家庭裁判所に申し立てる前に、医師の診断を受け、後見・保佐・補助いずれに該当するかを診断書に記載してもらいます。それらを参考に、家庭裁判所に申し立てますが、最終的には家庭裁判所が面談や申立書類の内容などから判定します。
後見人等になるのは誰なのかについては、こちらの記事をご覧下さい。