住まい/親の介護・相続
将来、親から相続を受ける場合に、相続税がかかるかどうか気になるところです。相続税は、親の残した財産の合計が、相続税の基礎控除額を超える場合にかかる税金。そのボーダーラインともいえる基礎控除額が、2015年1月から一気に4割も引き下げられました。つまり、以前ならかからなかった人でも、今後は相続税がかかる可能性があるのです。
2014年12月末までの基礎控除額…「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」
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2015年1月からの基礎控除額 …「3,000万円+600万円×法定相続人の数」
改正後の基礎控除額を見てみましょう。例えば、法定相続人を子ども2人のとすると4,200万円(3,000万円+600万円×2人=4,200万円)、1人なら3,600万円(3,000万円+600万円×1人)です。「財産はマイホームと少々の預貯金だけ」と思っていても、“相続税の対象になりそう”と心配になる人も少なくないでしょう。
シングルの場合、実家で親と同居しているケースも少なくありませんが、ここで知っておきたいのが「小規模宅地等の特例」です。これは、親の残した自宅の土地について、相続税の評価を一定割合まで減額できる制度です。土地の評価方法は、「家を相続するときの不動産評価とは?」で確認したとおりですが、小規模宅地等の特例の適用があると、330㎡を限度に80%も減額、つまり20%で評価されます。
下図のように10万円/㎡の土地なら、330㎡を超えない部分について、通常どおりに評価すると3,300万円でも、660万円の評価。いかに節税効果を期待できるか、おわかりいただけるでしょう。
小規模宅地等の特例を適用できるのは、親と一緒に住んでいた子どもが、相続税の申告期限まで、その土地を所有したまま住み続けるなどの条件を満たす必要があります。別居している子どもでも、この特例を使える可能性はありますが、子どもが持ち家(本人やその配偶者が所有)の場合は対象になりません。
相続税の心配がある人は、どの程度の負担になるのかについて、親や兄弟と相談しながら早い時期に試算しておくことをお勧めします。漠然とした不安から解放されるのはもちろん、相続税対策の手段を検討する良いきっかけにもなるでしょう。
(おひとりさまスマイルCafe ”親の財産を引き継ぐ・不動産を遺す”)