住まい
齢期になると以前は支障がなかった家の中のちょっとした段差や日用品の買い物、病院通いなどに不便が生じるものです。とくにひとり暮らしの場合は、日常的な手助けが得られにくく、高齢者の暮らしやすさに配慮した住宅への住み替えを検討することもあるでしょう。
実際に住み替えるとなると、思い出の品々の処分や新しい人間関係の構築など、心理的なハードルに直面するのも事実ですが、ここではさまざま種類のある高齢者向けの住まいの概要を把握するために、どの程度自立した生活を送るか、住宅資金としてどの位支出するかといった観点で整理しています。
<費用と介護の必要度合いからみた分類イメージ>
介護保険でいう施設サービスとは、「特別養護老人ホーム(特養)」「老人保健施設(老健)」「介護医療院」を指します。
特養は、原則要介護3以上で常時介護が必要な人しか入れませんが、やむを得ない事情があれば要介護2や1でも入居できる場合もあります。おひとりさまのような単身世帯は、”やむを得ない事情”に該当し、優先が高くなる傾向があります。看取りまで対応している施設もあり、その場合は終の棲家として考えることができます。従来の多床室(相部屋)タイプから、10人以下のグループで生活するユニット型が増えてきており、部屋も個室でプライベートに配慮されています。なお、医療行為は提携病院や外部の病院を利用することになります。
特養の選び方については、こちらをご覧ください。
老健は、病院から退院して自宅に戻るまでの間、医療とリハビリを中心に提供している介護施設です。あくまでも在宅復帰を目指す人向けで、3カ月程度までしかいられないため、終の棲家としては考えにくいでしょう。また、特養が人気ですぐに入れない場合は、老健を繋ぎとして利用することもあります。
介護医療院は、2024年3月までに廃止された介護療養型医療施設の後継として、長期的な医療と介護の両方を提供する施設です。ここも終の棲家になり得ますが、医療ケアが必要なければ入居は難しくなります。
「認知症高齢者グループホーム」は、認知症の症状があり介助が必要ではあるけれど、家事などを共同で行いながら生活する民間施設です。ただしは国や自治体が指定したり監督しており、比較的安い費用で利用することができる施設です。
介護保険の3施設(特養・老健・介護医療院)に入ってかかる費用は介護度と所得によって、ひと月8~25万円程度と差があります。要介護度が高く、年金など所得が高い人ほど、自己負担も高くなります。いずれも一時費用は掛かりません。
3施設以外の施設に入居して介護保険を利用する場合は、在宅で介護保険を利用するのと同じ、居宅サービスを利用します。つまり外部の介護事業者のサービスを組み合わせて利用することになります。
いずれの施設でも居住費(サ高住なら賃料)や食事代は介護保険が使えず、原則、全額自己負担です。そのため、特に民間施設は地域やグレードなどによって、必要となる費用が大きく異なります。
(おひとりさまスマイルCafe ”住まい・施設”)