親の介護・相続
介護を理由に離職した人は、過去5年間で約50万人にも及びます。しかし、一人で生計を立てているシングルの場合、親などの介護のために仕事を辞めることはできるだけ避けたいものです。そこで、雇用保険に加入している会社員や公務員が、仕事と介護を両立させるために役立つ制度をご紹介します。
まず、介護の時間が長期間にわたって必要な場合に活用したいのが「介護休業」制度です。対象の家族1人につき、要介護状態ごとに1回、通算して93日(3ヶ月間)を限度に、休業または労働時間の短縮など働き方を選択することができます。この場合の要介護状態とは、介護保険制度上の状態とは異なり、「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」のこと。また、家族には配偶者、父母、子、配偶者の父母以外にも、同居して扶養している祖父母や兄弟姉妹なども含まれます。
介護休業のために給与が制限される場合、一定条件を満たせば賃金の40%相当額の介護休業給付金が支給(上限あり)。ただし賃金と給付金の合計額が基準の賃金の80%を超える場合は減額されます。正社員だけではなく、1年以上の雇用期間があるパートや派遣、契約社員などでも取得できる制度です。
要介護状態になると、介護サービスが開始されるまでの付き切りの介護や施設探しなど、介護体制を整えるためにまとまった時間が必要なケースも少なくありません。そのような時に介護休業制度を利用するといいでしょう。
一方、介護休業とまではいかなくても、病院への付き添いや介護サービスの手続き代行など、短期の休みが必要な時には「介護休暇」を活用。介護が必要な家族が1人であれば年5日、2人以上であれば年10日を通常の有給休暇とは別に取得することができます。緊急を要する場合は、当日の申し出でも可能です。
自営業の人は比較的時間の融通が利きやすい面がありますが、どこでも仕事ができるように、モバイル化や必要に応じて自宅と実家のパソコンを2重化するなど、仕事の環境を整えることも有効です。また、どうしても自分が対応できないときに、仕事を代わってもらえる人など、同業のネットワークを作っておくと心強いでしょう。
<介護に関する支援制度>
対象者 |
要介護状態にある家族を介護する労働者 |
|||
制度・ |
介護休業 |
所定労働時間の短縮等 |
介護休暇 |
時間外労働・深夜業の制限 |
基本的な
|
対象家族1人につ き、常時介護を必要とする要介護状態ごとに原則1回、通算して93日間に達するまで休業 |
「93日-介護休業取得期間」以上の期間で所定労働時間の短縮等(短時間勤務、フレックス制、時差出勤等) |
1年度に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)を限度として休暇を取得 |
1カ月24時間、1年10時間超の時間外労働を免除。1カ月以上6カ月以内の期間で深夜業を免除 |
申出・ |
2週間前 |
任意 |
任意 |
1カ月前 |
(おひとりさまスマイルCafe ”親の介護”)