イザに備える/親の介護・相続
加齢などによって日常生活に不便を感じるようになったとき、頼りになるのが公的な介護保険制度です。とくにひとり暮らしの場合は、入浴や食事、洗濯、買い物など誰かの手を借りたい場面は多くなりがちです。
介護保険では介護の必要度合いを「要支援1」「要支援2」および「要介護1」~「要介護5」の7段階に分け、それぞれに利用できるサービスが定められています。大きく分けると、「要介護」に該当する場合は自宅や施設などで介護サービスを、「要支援」の場合は家事・入浴などの補助やリハビリテーションなど将来介護が必要な状態になるのを予防するためのサービスを利用することができます。
介護保険制度が提供するサービスの利用にあたっては、原則として費用の1割または2割,3割を利用者が負担しなければなりません(負担割合は所得によって異なります)。また、それだけ負担しさえすれば無制限に利用できるものでもなく、要介護認定の区分によって上限金額が定められています。上限を超えての利用や適用外のサービス利用ができないわけではありませんが、その際は実費を支払うことになるので老後のマネープランにも影響を及ぼします。とくに、ひとり暮らしの場合はこうしたサービスを利用する機会が多くなりがちですから、比較的安価に自治体が提供してくれる独自のサービスなども視野にケアプランを立てる必要があります。(介護保険外のサービスについてはこちらをご覧ください)
<公的介護保険 在宅サービスの利用の目安> 2019年10月現在の支給限度額
要介護度 |
支給限度額 月額 |
身体状態の目安 |
利用できるサービスの目安(在宅サービスと地域密着サービス) |
要支援1 |
50, 320円 |
要介護とは認められないが、社会的支援を必要とする状態 |
週2~3回のサービス ・週1回の介護予防訪問介護(ホームヘルプサービス) ・介護予防通所介護または通所リハビリテーション (介護予防通所系サービス) ・月2回の施設への短期入所 |
要支援2 |
105,310円 |
生活の一部について部分的に介護を必要とする状態 |
週3~4回のサービス ・週2回の介護予防訪問介護 ・介護予防通所系サービス ・月2回の施設への短期入所 ・福祉用具貸与(歩行補助つえ) |
要介護1 |
167,650円 |
1日1回程度のサービス ・週3回の訪問介護 ・週1回の訪問看護 ・週2回の通所系サービス ・3か月1週間程度の短期入所 ・福祉用具貸与(歩行補助つえ) |
|
要介護2 |
197,050円 |
軽度の介護を必要とする状態 |
1日1~2回程度のサービス ・週3回の訪問介護 ・週1回の訪問看護 ・週3回の通所系サービス ・3か月1週間程度の短期入所 ・福祉用具貸与(認知症老人徘徊感知機器) |
要介護3 |
270,480円 |
中等度の介護を必要とする状態 |
1日2回程度のサービス ・週2回の訪問介護 ・週1回の訪問看護 ・週3回の通所系サービス ・毎日1回夜間の巡回型訪問介護 ・2か月に1週間程度の短期入所 ・福祉用具貸与(車イス・特殊寝台) |
要介護4 |
309,380円 |
重度の介護を必要とする状態 |
1日2~3回程度のサービス ・週6回の訪問介護 ・週2回の訪問看護 ・週1回の通所系サービス ・毎日1回夜間の巡回型訪問介護 ・2か月に1週間程度の短期入所 ・福祉用具貸与(車イス・特殊寝台) |
要介護5 |
362,170円 |
最重度の介護を必要とする状態 |
1日3~4回程度のサービス ・週5回の訪問介護 ・週2回の訪問看護 ・週1回の通所系サービス ・毎日2回早朝・夜間の巡回型訪問介護 ・1か月1週間程度の短期入所 ・福祉用具貸与 (特殊寝台、エアーマットなど) |
※支給限度額は標準的な地域の例。大都会の場合、介護サービスの内容に応じて利用料が10.5%など(最大14%)高くなるため、支給限度額は上記よりも高い。
※支給限度額を超えた分は全額自己負担。また、施設における食費や居住費は公的介護保険の給付の対象にならない。
出所:生命保険文化センター HP 「リスクに備えるための生活設計」 を参考