イザに備える
もの忘れが増えたり、自分で判断するのに不安に感じ始めたら、社会福祉協議会が運営する「日常生活自立支援事業(福祉サービス利用援助事業)」の利用を検討しましょう。サービス内容は日常生活まわりのことに限られますが、経済的に、また手続き面でも成年後見制度よりハードルが低いと言えるでしょう。
社会福祉協議会とは、全国の都道府県、市区町村に配置され、地域の住民や福祉・保健の関係者、行政機関、ボランティアなどによって構成されている公共性の高い非営利の民間組織です。高齢者や障がい者の在宅生活を支援する福祉サービスやボランティア活動の振興なども行っています。
日常生活自立支援事業の主なサービスは以下の通りです。専門員や生活支援員が援助してくれます。
○福祉サービスの利用支援
情報提供、相談、サービス利用の申し込みや契約代行
入所、入院している施設や病院のサービス利用に関する相談 など
○お金の出し入れ(金銭管理)
福祉サービスへの利用料支払い代行、病院へ医療費の支払いの手続き
年金や福祉手当の受領に必要な手続き、日用品購入の代金支払いの手続き
税金・社会保険料、公共料金の支払いの手続き
預金の出し入れ、または預金の解約の手続き
○日常生活に必要な事務手続きの支援
住宅改造や住まいの賃借に関する情報提供、相談
住民票の届け出などに関する手続き
商品購入時の簡易な苦情処理(クーリングオフ制度)の利用手続き
○通帳や証書の保管
通帳、ハンコ(実印、銀行印等)
証書(年金証書、保険証書、不動産権利証書、契約書等)、カードなどの預かり保管
直接本人や身近な人が社会福祉協議会、または行政の窓口、地域包括支援センターなどに問い合わせると、無料で相談に応じてくれ、支援計画を立ててくれます。サービスは有料で、訪問1回あたり1時間1000~1200円程度、重要書類の預かりは月500円など(料金は地域で異なる、生活保護受給世帯は無料)。地域によって、オプションサービスもあり、自宅だけでなく、施設や病院に入っている場合にも利用できるケースもあります。
このサービスは判断能力に自信がない人向けのものですが、サービスの契約内容についてある程度理解できることが条件となっています。つまり、認知症でも軽度の人が対象です。もしも、契約内容が理解できないほど判断能力がなくなった場合は、成年後見制度に切り替える必要がありますが、その支援も行っています。
シングルでも安心して暮らせるように、このような制度もありますので、上手に活用しましょう。